6-3 到着、藤沢宿 ― 2014/05/04 21:58
<目次(リンク)>
1.遊行寺の門前町 藤沢宿へ
http://o-chan.asablo.jp/blog/2014/05/04/7302199
2.遊行寺坂の松並木
http://o-chan.asablo.jp/blog/2014/05/04/7302197
3.到着、藤沢宿
http://o-chan.asablo.jp/blog/2014/05/04/7302196
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3.到着、藤沢宿
藤沢の松並木に到着した二人は、存分に写真を撮った(実際に写真を撮ったのはおさべえだけだが)。そして、いよいよ松並木を歩きながら遊行寺の坂を下るのである。
【き】「松並木はいいね。東海道らしい。」
【お】「確かに見事だね。」
【き】「松が車道と歩道の間になるので、松の下を歩けるなぁ。」
【お】「神奈川県の東海道で有名な松並木といえば、やっぱり大磯だけど、ここも街道情緒があって立派じゃないか。」
【き】「お、いいこと言うね。東海道といえばやっぱり松並木だからな。」
【お】「この先は遊行寺坂。右側には遊行寺があるよ。」
しばし江戸時代の旅人気分となり松の下を歩く二人。街道は下りこう配となり遊行寺坂にさしかかる。遊行寺の交差点で鎌倉・江の島方面へ向かうことが出来るため、交通量は比較的多い。しかし、松並木はそんな交通量を気にさせない。しばらく歩くと、松並木も終わり一里塚跡の碑と江戸方見附跡の碑が現れる。
【き】「ああ、松並木が終わる。」
【お】「それほど長くないので、あっという間だったな。」
【き】「東海道が終わった・・・。」
【お】「おいおい、東海道は終わっていないぞ。」
【き】「終わったのは松並木だったな。」
【お】「・・・・・・。」
【き】「それにしても、遊行寺坂はだらだらと長いなぁ。上りだったら結構疲れるぞ。」
【お】「こんな坂を箱根駅伝の選手は走って登るんだからさ、すごいよなぁ。」
【き】「そうだな。」
【お】「ん、あそこに碑が建っているぞ。」
【き】「どれどれ。」
二人は碑らしきものへ近づいた。
【お】「一里塚跡。遊行寺の一里塚だ。」
【き】「こっちは江戸方見附跡の碑だ。」
【お】「ということは、ついに藤沢宿へ来たわけだ。」
【き】「いやー、長かったな。」
旅人はついに藤沢宿へ辿りついた。ここからは宿場内となるが、この日は小田急線の藤沢本町がゴール地点となるため、もう少し歩くようである。
藤沢宿は、遊行寺の門前町として栄えた。鎌倉道、江の島道、宿外ではあるが大山への参拝道を追分として持ち、参拝客で大いに賑わった。鎌倉道に関しては、近くに鎌倉街道上道も通っているが、ここでいう鎌倉道は江戸時代のものである。また、鎌倉時代の東海道(京鎌倉往還)もこの地を通っていたことから、時代を経て交通の要所であった。
見附の碑を越えると右側に遊行寺の入口があるため、二人は遊行寺の中に入った。境内はとても広く、本堂は大きい。遊行寺は時宗の総本山であり、正中2年(1325年)に創建された。本尊は阿弥陀如来である。
【き】「遊行寺か。大きいな。」
【お】「時宗の総本山だからね。」
【き】「ちょいと休憩しようか。」
【お】「そうだな。」
今回のゴール地点まではしばらくあるため、二人はここで小休止することにした。この小休止があだとなることを、まだ旅人は知らない・・・。
遊行寺の境内に入ると、本堂の大きさにも圧倒されるのだが、近くにあるイチョウにも目が奪われる。この大イチョウ、藤沢市の天然記念物に指定されている。境内を散策すること30分。時間はまだ15時前であるが、まるで夕方のような暗さになってきた空。そんな空を気にしてか、もう少し遊行寺を散策したいという気持ちを抑え、二人は先を急ぐことにした。
さて、一旦東海道に戻る。遊行寺坂を下りきった東海道は、遊行寺の交差点手前で一旦右に折れる。すぐに遊行寺黒門前の交差点に出るが、ここを左に折れる。赤い欄干の遊行寺橋を渡り右に折れる。この辺りは藤沢広小路と呼ばれ、藤沢宿の3曲がりとして有名である。また、広小路は火除地を意味し、火災から人家を守り、被災者の避難場所としても使用されていた。
【き】「藤沢広小路か。防災の意味があったのだな。」
【お】「そうだね。それと宿場でもあるので、鍵の手も担っていたのだろうね。」
【き】「赤い欄干の橋があるぞ。」
【お】「境川にかかる橋で、遊行寺橋というそうだよ。」
【き】「へぇー、さすがは遊行寺の門前町。すべてに遊行寺の名が付いているな。」
【お】「それにしても、今にも降り出しそうな空だな。」
【き】「こりゃ、雨がくるかもしれないぞ。」
その時、空からポツリポツリと雨が降ってきた。おさべえが気にしていた雨が降ってきてしまったのである。
【き】「ああ、雨が降ってきたぞ。」
【お】「ついに降ってきたか。」
【き】「宿場に入ったのだから、もう少し我慢してくれていればいいのになぁ。」
【お】「こればかりは仕方がない。傘をさそう。」
次第に雨の量が増してきて、道路を濡らしていく。宿場に入ったもののこの日のゴールは小田急線の藤沢本町駅。もう少し宿場内を歩く必要があった。
藤沢広小路を過ぎて藤沢本町方向へしばらく歩くと、蒔田本陣跡の案内板があった。二人は本陣跡の案内版の前で足をとめた。
【き】「蒔田本陣跡と書いてあるぞ。ここに本陣があったのか。」
【お】「今ではこの案内板が本陣のあったことを伝えているけど、当時はどのくらいの規模の建物があったのだろう。」
【き】「そうだな。タイムマシーンでもあれば見ることができるのだが・・・。」
【お】「はははは。おっと、写真を撮らなきゃ。」
【き】「雨でも写真を撮るのか。」
【お】「そりゃそうさ。写真はここにきた証だからね。ちゃんと東海道を辿っていることを記録しなきゃ。」
【き】「熱心なことで・・・。」
【お】「さて、写真を撮ったから先へ進もう。」
本陣跡を過ぎて先へ進むと、道路の左側の藤沢市消防署本町出張所の前に問屋場跡の案内版が立っていた。本陣、問屋場などがあったことから、このあたりが藤沢宿の中心だったのであろう。現在は、東海道線の藤沢駅周辺が街の中心であるが、藤沢本町の本町という地名が、かつてここが中心であったことを伝えている。
【お】「今度は問屋場跡の案内板があるぞ。」
【き】「どれどれ、おお、本当だ。」
【お】「本陣跡があって問屋場跡があるということは、この辺りが宿場の中心だった場所だね。」
【き】「ここが江戸時代の藤沢の中心地か。今はずいぶんと静かな場所なんだな。」
【お】「現在の藤沢の中心部は、東海道線の藤沢駅付近だからね。」
【き】「時代とともに変わって行ったというとか。」
【お】「写真を撮ってと・・・。傘を持っているとちょっと撮りずらいねぇ。」
【き】「雨が本降りになってきたよ。撮れたかい?」
【お】「なんとか。」
【き】「いよいよ本降りになってきたので、先を急ごう。」
時間は15時。まだまだ時間的には余裕がある。本来なら宿場内をゆっくりと散策する二人であるが、この日は本降りの雨となったため、足早に史跡を過ぎるのであった。問屋場跡から先へ進むと、やがて源義経首洗井戸の案内板が出てくる。
【お】「源義経首洗井戸の案内板があったよ。」
【き】「源義経首洗井戸?」
【お】「これも史跡さ。その名の通り源義経の首を洗ったとされる井戸。ちょっと見ていこうか。」
【き】「うーん、あまりいい感じのしない史跡だな。首を洗った井戸だろ。」
【お】「そうだよ。」
【き】「雨も降っているし、先を急ごうじゃないか。」
【お】「そう言わずに、ちょっと見ていこう。」
【き】「・・・・・・。」
この手の史跡はちょっと苦手なきんのじ。おさべえに促されるように井戸を見に行った。この井戸は、平泉で討れた義経の首は首実検後、片瀬の浜に捨てられ、境川を逆り白旗に漂着したものを 里人がこの井戸で洗い清めたという言い伝えが残されている。
【き】「なんか、いまいち気味の悪い井戸だな。」
【お】「言い伝えはあるけど、普通の井戸だよ。」
【き】「まあそうだけどね。」
【お】「とりあえず記録を残して・・・。」
【き】「おお、この井戸も撮るのか。おさべえは勇気あるな。」
【お】「そうか。」
【き】「おいらは絶対に撮らないね。こういうあまりよくない言い伝えのある史跡は。」
【お】「さあ、記録を残したので先へ進もう。藤沢本町の駅はもうすぐだから。」
【き】「おお、やっとゴールか。雨なのでさっさと終わらせよう。」
源義経首洗井戸を後にして先を急ぐ二人。やがて交差点に差し掛かると、右側に大きな鳥居が見えた。白旗神社の鳥居である。
【お】「あれは白旗神社の鳥居だね。結構大きいな。」
【き】「本当だ。」
【お】「行ってみるかい?」
【き】「いや、やめよう。」
【お】「あれ、いつもなら寄るのに、今日は寄らないのかい。」
【き】「雨も降っているし、次回にしようじゃないか。」
雨が降るととたんにやる気のなくなるきんのじ。終えたいという気持ちが伝わってきた。おさべえは仕方なく、交差点を直進した。前方に橋が見えると藤沢本町の駅である。
【き】「橋があるぞ。」
【お】「伊勢山橋だよ。」
【き】「川でもあるのか。」
【お】「いやいや、小田急線を越える橋さ。」
【き】「ということは、ついたわけか。藤沢本町に。」
【お】「そういうこと。」
二人は伊勢山橋の前に立った。橋の下には小田急線が走っており、向かって右側に藤沢本町の駅がある。
【お】「今日はここまで。次回はここからスタートだね。」
【き】「やっと着いた。雨が降ると歩くのが面倒になるな。」
【お】「ありゃまぁ。」
【き】「さあ。帰ろう。とっとと帰って疲れ癒そう。」
【お】「何で癒すんだい?」
【き】「もちろん、ビールで。」
【お】「やっぱり・・・。」
15時20分。時間的にはまだ余裕があるが、鉄道の駅前であることや雨が降っていることもあり、本日の旅はここで終えるようである。二人は藤沢本町から小田急線に乗り藤沢へ。藤沢から東海道線に乗って東京を目指した。
第七章へ続く
1.遊行寺の門前町 藤沢宿へ
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2.遊行寺坂の松並木
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3.到着、藤沢宿
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3.到着、藤沢宿
藤沢の松並木に到着した二人は、存分に写真を撮った(実際に写真を撮ったのはおさべえだけだが)。そして、いよいよ松並木を歩きながら遊行寺の坂を下るのである。
【き】「松並木はいいね。東海道らしい。」
【お】「確かに見事だね。」
【き】「松が車道と歩道の間になるので、松の下を歩けるなぁ。」
【お】「神奈川県の東海道で有名な松並木といえば、やっぱり大磯だけど、ここも街道情緒があって立派じゃないか。」
【き】「お、いいこと言うね。東海道といえばやっぱり松並木だからな。」
【お】「この先は遊行寺坂。右側には遊行寺があるよ。」
しばし江戸時代の旅人気分となり松の下を歩く二人。街道は下りこう配となり遊行寺坂にさしかかる。遊行寺の交差点で鎌倉・江の島方面へ向かうことが出来るため、交通量は比較的多い。しかし、松並木はそんな交通量を気にさせない。しばらく歩くと、松並木も終わり一里塚跡の碑と江戸方見附跡の碑が現れる。
【き】「ああ、松並木が終わる。」
【お】「それほど長くないので、あっという間だったな。」
【き】「東海道が終わった・・・。」
【お】「おいおい、東海道は終わっていないぞ。」
【き】「終わったのは松並木だったな。」
【お】「・・・・・・。」
【き】「それにしても、遊行寺坂はだらだらと長いなぁ。上りだったら結構疲れるぞ。」
【お】「こんな坂を箱根駅伝の選手は走って登るんだからさ、すごいよなぁ。」
【き】「そうだな。」
【お】「ん、あそこに碑が建っているぞ。」
【き】「どれどれ。」
二人は碑らしきものへ近づいた。
【お】「一里塚跡。遊行寺の一里塚だ。」
【き】「こっちは江戸方見附跡の碑だ。」
【お】「ということは、ついに藤沢宿へ来たわけだ。」
【き】「いやー、長かったな。」
旅人はついに藤沢宿へ辿りついた。ここからは宿場内となるが、この日は小田急線の藤沢本町がゴール地点となるため、もう少し歩くようである。
藤沢宿は、遊行寺の門前町として栄えた。鎌倉道、江の島道、宿外ではあるが大山への参拝道を追分として持ち、参拝客で大いに賑わった。鎌倉道に関しては、近くに鎌倉街道上道も通っているが、ここでいう鎌倉道は江戸時代のものである。また、鎌倉時代の東海道(京鎌倉往還)もこの地を通っていたことから、時代を経て交通の要所であった。
見附の碑を越えると右側に遊行寺の入口があるため、二人は遊行寺の中に入った。境内はとても広く、本堂は大きい。遊行寺は時宗の総本山であり、正中2年(1325年)に創建された。本尊は阿弥陀如来である。
【き】「遊行寺か。大きいな。」
【お】「時宗の総本山だからね。」
【き】「ちょいと休憩しようか。」
【お】「そうだな。」
今回のゴール地点まではしばらくあるため、二人はここで小休止することにした。この小休止があだとなることを、まだ旅人は知らない・・・。
遊行寺の境内に入ると、本堂の大きさにも圧倒されるのだが、近くにあるイチョウにも目が奪われる。この大イチョウ、藤沢市の天然記念物に指定されている。境内を散策すること30分。時間はまだ15時前であるが、まるで夕方のような暗さになってきた空。そんな空を気にしてか、もう少し遊行寺を散策したいという気持ちを抑え、二人は先を急ぐことにした。
さて、一旦東海道に戻る。遊行寺坂を下りきった東海道は、遊行寺の交差点手前で一旦右に折れる。すぐに遊行寺黒門前の交差点に出るが、ここを左に折れる。赤い欄干の遊行寺橋を渡り右に折れる。この辺りは藤沢広小路と呼ばれ、藤沢宿の3曲がりとして有名である。また、広小路は火除地を意味し、火災から人家を守り、被災者の避難場所としても使用されていた。
【き】「藤沢広小路か。防災の意味があったのだな。」
【お】「そうだね。それと宿場でもあるので、鍵の手も担っていたのだろうね。」
【き】「赤い欄干の橋があるぞ。」
【お】「境川にかかる橋で、遊行寺橋というそうだよ。」
【き】「へぇー、さすがは遊行寺の門前町。すべてに遊行寺の名が付いているな。」
【お】「それにしても、今にも降り出しそうな空だな。」
【き】「こりゃ、雨がくるかもしれないぞ。」
その時、空からポツリポツリと雨が降ってきた。おさべえが気にしていた雨が降ってきてしまったのである。
【き】「ああ、雨が降ってきたぞ。」
【お】「ついに降ってきたか。」
【き】「宿場に入ったのだから、もう少し我慢してくれていればいいのになぁ。」
【お】「こればかりは仕方がない。傘をさそう。」
次第に雨の量が増してきて、道路を濡らしていく。宿場に入ったもののこの日のゴールは小田急線の藤沢本町駅。もう少し宿場内を歩く必要があった。
藤沢広小路を過ぎて藤沢本町方向へしばらく歩くと、蒔田本陣跡の案内板があった。二人は本陣跡の案内版の前で足をとめた。
【き】「蒔田本陣跡と書いてあるぞ。ここに本陣があったのか。」
【お】「今ではこの案内板が本陣のあったことを伝えているけど、当時はどのくらいの規模の建物があったのだろう。」
【き】「そうだな。タイムマシーンでもあれば見ることができるのだが・・・。」
【お】「はははは。おっと、写真を撮らなきゃ。」
【き】「雨でも写真を撮るのか。」
【お】「そりゃそうさ。写真はここにきた証だからね。ちゃんと東海道を辿っていることを記録しなきゃ。」
【き】「熱心なことで・・・。」
【お】「さて、写真を撮ったから先へ進もう。」
本陣跡を過ぎて先へ進むと、道路の左側の藤沢市消防署本町出張所の前に問屋場跡の案内版が立っていた。本陣、問屋場などがあったことから、このあたりが藤沢宿の中心だったのであろう。現在は、東海道線の藤沢駅周辺が街の中心であるが、藤沢本町の本町という地名が、かつてここが中心であったことを伝えている。
【お】「今度は問屋場跡の案内板があるぞ。」
【き】「どれどれ、おお、本当だ。」
【お】「本陣跡があって問屋場跡があるということは、この辺りが宿場の中心だった場所だね。」
【き】「ここが江戸時代の藤沢の中心地か。今はずいぶんと静かな場所なんだな。」
【お】「現在の藤沢の中心部は、東海道線の藤沢駅付近だからね。」
【き】「時代とともに変わって行ったというとか。」
【お】「写真を撮ってと・・・。傘を持っているとちょっと撮りずらいねぇ。」
【き】「雨が本降りになってきたよ。撮れたかい?」
【お】「なんとか。」
【き】「いよいよ本降りになってきたので、先を急ごう。」
時間は15時。まだまだ時間的には余裕がある。本来なら宿場内をゆっくりと散策する二人であるが、この日は本降りの雨となったため、足早に史跡を過ぎるのであった。問屋場跡から先へ進むと、やがて源義経首洗井戸の案内板が出てくる。
【お】「源義経首洗井戸の案内板があったよ。」
【き】「源義経首洗井戸?」
【お】「これも史跡さ。その名の通り源義経の首を洗ったとされる井戸。ちょっと見ていこうか。」
【き】「うーん、あまりいい感じのしない史跡だな。首を洗った井戸だろ。」
【お】「そうだよ。」
【き】「雨も降っているし、先を急ごうじゃないか。」
【お】「そう言わずに、ちょっと見ていこう。」
【き】「・・・・・・。」
この手の史跡はちょっと苦手なきんのじ。おさべえに促されるように井戸を見に行った。この井戸は、平泉で討れた義経の首は首実検後、片瀬の浜に捨てられ、境川を逆り白旗に漂着したものを 里人がこの井戸で洗い清めたという言い伝えが残されている。
【き】「なんか、いまいち気味の悪い井戸だな。」
【お】「言い伝えはあるけど、普通の井戸だよ。」
【き】「まあそうだけどね。」
【お】「とりあえず記録を残して・・・。」
【き】「おお、この井戸も撮るのか。おさべえは勇気あるな。」
【お】「そうか。」
【き】「おいらは絶対に撮らないね。こういうあまりよくない言い伝えのある史跡は。」
【お】「さあ、記録を残したので先へ進もう。藤沢本町の駅はもうすぐだから。」
【き】「おお、やっとゴールか。雨なのでさっさと終わらせよう。」
源義経首洗井戸を後にして先を急ぐ二人。やがて交差点に差し掛かると、右側に大きな鳥居が見えた。白旗神社の鳥居である。
【お】「あれは白旗神社の鳥居だね。結構大きいな。」
【き】「本当だ。」
【お】「行ってみるかい?」
【き】「いや、やめよう。」
【お】「あれ、いつもなら寄るのに、今日は寄らないのかい。」
【き】「雨も降っているし、次回にしようじゃないか。」
雨が降るととたんにやる気のなくなるきんのじ。終えたいという気持ちが伝わってきた。おさべえは仕方なく、交差点を直進した。前方に橋が見えると藤沢本町の駅である。
【き】「橋があるぞ。」
【お】「伊勢山橋だよ。」
【き】「川でもあるのか。」
【お】「いやいや、小田急線を越える橋さ。」
【き】「ということは、ついたわけか。藤沢本町に。」
【お】「そういうこと。」
二人は伊勢山橋の前に立った。橋の下には小田急線が走っており、向かって右側に藤沢本町の駅がある。
【お】「今日はここまで。次回はここからスタートだね。」
【き】「やっと着いた。雨が降ると歩くのが面倒になるな。」
【お】「ありゃまぁ。」
【き】「さあ。帰ろう。とっとと帰って疲れ癒そう。」
【お】「何で癒すんだい?」
【き】「もちろん、ビールで。」
【お】「やっぱり・・・。」
15時20分。時間的にはまだ余裕があるが、鉄道の駅前であることや雨が降っていることもあり、本日の旅はここで終えるようである。二人は藤沢本町から小田急線に乗り藤沢へ。藤沢から東海道線に乗って東京を目指した。
第七章へ続く
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