3-3 神奈川宿到着 ― 2012/10/14 01:43
<目次(リンク)>
1.川崎宿から旧道の旅
http://o-chan.asablo.jp/blog/2012/10/14/6601901
2.生麦魚河岸通りと国道歩き
http://o-chan.asablo.jp/blog/2012/10/14/6601900
3.神奈川宿到着
http://o-chan.asablo.jp/blog/2012/10/14/6601899
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3.神奈川宿到着
さて、東海道はキリンビール工場わきで国道15号線に合流すると、神奈川宿までは国道を進むことになる。旅人にとっては退屈な長い国道歩きとなる。
国道15号線は、通称第一京浜と呼ばれ、神奈川と東京を結ぶ幹線道路である。とにかく交通量が多く、道幅も広い。そんな国道の歩道を歩く旅人二人。しばらくすると、右手に京急の神奈川新町駅あり、このあたりから神奈川宿に入るとされている。
神奈川新町駅近くにある公園には、オランダ領事館跡の石碑が建っている。おさべえは、地図で調べてこの場所へ向かった。
【お】「きんのじ。ここがオランダ領事館跡で、長延寺の跡でもあるよ。」
【き】「長延寺の跡。」
【お】「そう。そして、江戸川見附の跡でもある。つまり、神奈川宿の入口というわけだね。」
【き】「なるほど。ということは、ようやく次の宿場に着いたわけか。」
旅人は、今日の目的地、神奈川宿に到着した。まだ時間があることから、宿場を進むことにした。神奈川宿は、宮前商店街で旧道に入るまでは、国道15号線沿いとなる。地図に習い、旅人は国道を進んだ。
【き】「なぁ、おさべえ。」
【お】「なんだ。」
【き】「宿場に入ったのはいいが、国道15号線沿いには、これといった史跡がないぞ。」
【お】「確かに。こちらが本筋なのだろうけど、史跡がありそうなのは、鉄道と国道の間の道のようだよ。とりあえず、そっちを歩いてみようか。」
おさべえの言うとおり、京急の仲木戸駅あたりからは、鉄道と国道の間にある平行する道に、史跡が多く残されている。二人は、その道を歩くことにした。
【き】「この道の方が街道らしくないか、おさべえ。」
【お】「そうだな。ん、あれは何だ。」
【き】「どれどれ。屏風絵じゃないか。」
おさべえが指したところには、屏風の形をした壁があり、なにかの絵が描かれている。二人はその壁に近づいてみた。
【き】「おお、これは宿場の絵だぞ。神奈川宿の全景ではないか、おさべえ。」
【お】「本当だ。宿場が描かれている。」
【き】「これを見ると、今の横浜駅は海だったのか。しかも、宿場の横は海だぞ。」
【お】「きんのじ、これって品川宿に似てないか。」
【き】「品川宿に。なぜ。」
【お】「海に面した宿場だからさ。」
【き】「確かにな。となると、さぞかし食い物もうまかったのだろうな。うまい魚とうまいビール。うーん、贅沢な宿場だ。」
【お】「おいおい、うまい魚はあるとして、ビールはなかったんじゃないか、江戸時代には。」
【き】「そうか・・・。」
【お】「きんのじは、よほどビールが好きらしいな。」
【き】「まあね。」
そんなたわいもない話をしながら、神社仏閣や史跡のある道を歩く二人。やがて、神奈川地区センターの建物が見えてきた。そこには、復元された高札が置かれていた。
【お】「近代的な建物の前に高札があるぞ。なんか、アンバランスだな、きんのじ。」
【き】「できれば、街道筋に復元してもらいたいものだな。もしかしたら、この細い道が街道だったんじゃないか。本当は。」
【お】「ガイドブックを見る限りでは、国道15号線になっているけどね・・・。こっちの道の方がそれらしいのは事実だね。」
高札跡を過ぎた二人は、史跡の多い小道を先へ進んだ。やがて川沿いの道に出ると、国道15号方面へ向かって進んだ。
【お】「この川沿いに、本陣跡があるそうだけど、なにかそれらしいものはあったかい、きんのじ。」
【き】「あれじゃないか。ほら、案内板みたいなのが建っているぞ。」
【お】「どれどれ。青木本陣跡と書いてあるな。おお、これだこれだ。ということは、この近くに本陣があったのか。」
【き】「へぇー、川沿いにあったのか。今ではまったく面影がないな。」
【お】「近代化と共に消え去った宿場のようだね。もっとも、神奈川宿というと、この先の台町へ向かう坂が有名なんだけどな。」
【き】「とても、ここに宿場があったとは思えない雰囲気だな、おさべえ。」
【お】「そうだな。」
青木本陣は、当時「滝の橋」付近にあった。旅人が歩いてきた道に沿っている川が滝の川で、この川を越える国道15号に掛かっている橋を「滝の橋」という。確かに、碑の建っているところ付近にあったみたいだ。
さて、国道に出た旅人は、少しの間国道を進む。やがて、右斜めに分岐する道が現れる。宮前商店街と書かれた道が東海道である。
【お】「宮前商店街。ここが東海道だな。」
【き】「商店街にしては、少々寂しい感じがするなぁ、おさべえ。」
【お】「今日が日曜日だからじゃないか。これでも、この先に京急の神奈川駅があるんだぞ。」
【き】「じゃあ、そこで今日は終わりか。」
【お】「そういうこと。あと少しだ。」
宮前商店街と書かれた道は、国道15号と京急の神奈川駅とを結ぶ小さな道である。江戸時代には宿場町であったが、今は、国道とJR・京急といった鉄道の間に挟まれた小さな商店街になってしまった。さらに、近くには横浜駅があり、宿場町は衰退していったのかもしれない。
【き】「当時の宿場が今は商店街。よくあるパターンだけど、ここはやっぱり寂しいなぁ。そうは思わないか、おさべえ。」
【お】「当時海だったところが埋め立てられ、やがて神奈川県でも随一の横浜の街が出来た。多くの鉄道が乗り入れる横浜駅から離れているこの場所は、衰退してしまったのだろうね。」
【き】「それは言えるな。」
やがて、旅人は京急の神奈川駅に着いた。小さな駅は各駅停車しか止まらない。もっとも、横浜駅は目と鼻の先であり、私鉄だから駅を作った感じである。実際、平行するJRには駅が無い。
【お】「さて、目的地に着いたぞ、きんのじ。今日はここまで。」
【き】「横浜まで行かないのか。」
【お】「東海道は、この先の青木橋で、鉄道と国道1号線を横切るので、横浜駅方面には向かわないんだよ。ほら、国道1号の向こうに、斜めに入る道が見えるだろう。」
【き】「おお、あれか。確かに、この道の続きのような角度をしている。」
【お】「鉄道と国道で分断されてしまった東海道だけど、昔は続いていたというこどたよ。」
【き】「なるほど。神奈川宿は分断されてしまったわけだな。だから、今は寂しい宿場になっているというわけか。なぁ、おさべえ。」
【お】「そういうこと。」
【き】「よし、これで今日は終わり。次回はここからスタートということで、さあ、ビールを飲みに行こう。おさべえ。」
【お】「ありゃ、最後はビールね。OK!」
今回の旅は、京急の神奈川駅前で終了した。東海道の旅はまだまだ序盤戦。次なる旅を楽しみにしながら、ビールで乾杯する旅人二人であった。
旅は、第4章へ続くのである・・・。
1.川崎宿から旧道の旅
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2.生麦魚河岸通りと国道歩き
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3.神奈川宿到着
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3.神奈川宿到着
さて、東海道はキリンビール工場わきで国道15号線に合流すると、神奈川宿までは国道を進むことになる。旅人にとっては退屈な長い国道歩きとなる。
国道15号線は、通称第一京浜と呼ばれ、神奈川と東京を結ぶ幹線道路である。とにかく交通量が多く、道幅も広い。そんな国道の歩道を歩く旅人二人。しばらくすると、右手に京急の神奈川新町駅あり、このあたりから神奈川宿に入るとされている。
神奈川新町駅近くにある公園には、オランダ領事館跡の石碑が建っている。おさべえは、地図で調べてこの場所へ向かった。
【お】「きんのじ。ここがオランダ領事館跡で、長延寺の跡でもあるよ。」
【き】「長延寺の跡。」
【お】「そう。そして、江戸川見附の跡でもある。つまり、神奈川宿の入口というわけだね。」
【き】「なるほど。ということは、ようやく次の宿場に着いたわけか。」
旅人は、今日の目的地、神奈川宿に到着した。まだ時間があることから、宿場を進むことにした。神奈川宿は、宮前商店街で旧道に入るまでは、国道15号線沿いとなる。地図に習い、旅人は国道を進んだ。
【き】「なぁ、おさべえ。」
【お】「なんだ。」
【き】「宿場に入ったのはいいが、国道15号線沿いには、これといった史跡がないぞ。」
【お】「確かに。こちらが本筋なのだろうけど、史跡がありそうなのは、鉄道と国道の間の道のようだよ。とりあえず、そっちを歩いてみようか。」
おさべえの言うとおり、京急の仲木戸駅あたりからは、鉄道と国道の間にある平行する道に、史跡が多く残されている。二人は、その道を歩くことにした。
【き】「この道の方が街道らしくないか、おさべえ。」
【お】「そうだな。ん、あれは何だ。」
【き】「どれどれ。屏風絵じゃないか。」
おさべえが指したところには、屏風の形をした壁があり、なにかの絵が描かれている。二人はその壁に近づいてみた。
【き】「おお、これは宿場の絵だぞ。神奈川宿の全景ではないか、おさべえ。」
【お】「本当だ。宿場が描かれている。」
【き】「これを見ると、今の横浜駅は海だったのか。しかも、宿場の横は海だぞ。」
【お】「きんのじ、これって品川宿に似てないか。」
【き】「品川宿に。なぜ。」
【お】「海に面した宿場だからさ。」
【き】「確かにな。となると、さぞかし食い物もうまかったのだろうな。うまい魚とうまいビール。うーん、贅沢な宿場だ。」
【お】「おいおい、うまい魚はあるとして、ビールはなかったんじゃないか、江戸時代には。」
【き】「そうか・・・。」
【お】「きんのじは、よほどビールが好きらしいな。」
【き】「まあね。」
そんなたわいもない話をしながら、神社仏閣や史跡のある道を歩く二人。やがて、神奈川地区センターの建物が見えてきた。そこには、復元された高札が置かれていた。
【お】「近代的な建物の前に高札があるぞ。なんか、アンバランスだな、きんのじ。」
【き】「できれば、街道筋に復元してもらいたいものだな。もしかしたら、この細い道が街道だったんじゃないか。本当は。」
【お】「ガイドブックを見る限りでは、国道15号線になっているけどね・・・。こっちの道の方がそれらしいのは事実だね。」
高札跡を過ぎた二人は、史跡の多い小道を先へ進んだ。やがて川沿いの道に出ると、国道15号方面へ向かって進んだ。
【お】「この川沿いに、本陣跡があるそうだけど、なにかそれらしいものはあったかい、きんのじ。」
【き】「あれじゃないか。ほら、案内板みたいなのが建っているぞ。」
【お】「どれどれ。青木本陣跡と書いてあるな。おお、これだこれだ。ということは、この近くに本陣があったのか。」
【き】「へぇー、川沿いにあったのか。今ではまったく面影がないな。」
【お】「近代化と共に消え去った宿場のようだね。もっとも、神奈川宿というと、この先の台町へ向かう坂が有名なんだけどな。」
【き】「とても、ここに宿場があったとは思えない雰囲気だな、おさべえ。」
【お】「そうだな。」
青木本陣は、当時「滝の橋」付近にあった。旅人が歩いてきた道に沿っている川が滝の川で、この川を越える国道15号に掛かっている橋を「滝の橋」という。確かに、碑の建っているところ付近にあったみたいだ。
さて、国道に出た旅人は、少しの間国道を進む。やがて、右斜めに分岐する道が現れる。宮前商店街と書かれた道が東海道である。
【お】「宮前商店街。ここが東海道だな。」
【き】「商店街にしては、少々寂しい感じがするなぁ、おさべえ。」
【お】「今日が日曜日だからじゃないか。これでも、この先に京急の神奈川駅があるんだぞ。」
【き】「じゃあ、そこで今日は終わりか。」
【お】「そういうこと。あと少しだ。」
宮前商店街と書かれた道は、国道15号と京急の神奈川駅とを結ぶ小さな道である。江戸時代には宿場町であったが、今は、国道とJR・京急といった鉄道の間に挟まれた小さな商店街になってしまった。さらに、近くには横浜駅があり、宿場町は衰退していったのかもしれない。
【き】「当時の宿場が今は商店街。よくあるパターンだけど、ここはやっぱり寂しいなぁ。そうは思わないか、おさべえ。」
【お】「当時海だったところが埋め立てられ、やがて神奈川県でも随一の横浜の街が出来た。多くの鉄道が乗り入れる横浜駅から離れているこの場所は、衰退してしまったのだろうね。」
【き】「それは言えるな。」
やがて、旅人は京急の神奈川駅に着いた。小さな駅は各駅停車しか止まらない。もっとも、横浜駅は目と鼻の先であり、私鉄だから駅を作った感じである。実際、平行するJRには駅が無い。
【お】「さて、目的地に着いたぞ、きんのじ。今日はここまで。」
【き】「横浜まで行かないのか。」
【お】「東海道は、この先の青木橋で、鉄道と国道1号線を横切るので、横浜駅方面には向かわないんだよ。ほら、国道1号の向こうに、斜めに入る道が見えるだろう。」
【き】「おお、あれか。確かに、この道の続きのような角度をしている。」
【お】「鉄道と国道で分断されてしまった東海道だけど、昔は続いていたというこどたよ。」
【き】「なるほど。神奈川宿は分断されてしまったわけだな。だから、今は寂しい宿場になっているというわけか。なぁ、おさべえ。」
【お】「そういうこと。」
【き】「よし、これで今日は終わり。次回はここからスタートということで、さあ、ビールを飲みに行こう。おさべえ。」
【お】「ありゃ、最後はビールね。OK!」
今回の旅は、京急の神奈川駅前で終了した。東海道の旅はまだまだ序盤戦。次なる旅を楽しみにしながら、ビールで乾杯する旅人二人であった。
旅は、第4章へ続くのである・・・。

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