熊野三山1(熊野速玉大社、神倉神社)2009/09/24 23:04

偶然がなせる技なのか、今年の9月には最大で5連休となる、GWに匹敵する大型連休がありました。
この連休を利用して、かねてより一度は訪れてみたかった「熊野三山」へ行ってきました。

熊野三山とは、一般的に、熊野本宮大社(本宮)、熊野那智大社(那智)、熊野速玉大社(新宮)の三つの神社の総称を指しています。
全国に約3千社あるといわれる「熊野神社」の総本山となり、それぞれ崇拝の起源は以下のようになります。

熊野本宮大社 : 樹木崇拝を起源としている
熊野那智大社 : 滝(那智の大滝)崇拝を起源としている
熊野速玉大社 : 巨石崇拝を起源としている


■初日(20日)
この日は、和歌山県新宮市にあります「熊野速玉大社」と、摂社にあたる「神倉神社」を訪れました。

熊野速玉大社は、新宮駅からも徒歩で行かれる距離にあり、市街地にある比較的大きな神社、といった感じです。
鳥居をくぐり神域に入った後も、よくある「急な石段がしばらく続く」といったことはなく、比較的容易に本殿へ行くことが出来ます。

この神社、先に書いたように巨石を崇拝の起源としているのですが、境内のどこを探しても、巨木はあるものの巨石は見あたりませんでした。
境内を見て回っていると、曼陀羅図がありました。この図をよく見ると、速玉大社の左側に、急斜面と神社が描かれていました。

実は、この神社に、現在の速玉大社のルーツがありました。
急斜面の上に書かれた神社は「神倉神社」といい、ゴトビキ岩を御神体として、神倉山の中腹に社殿があります。つまり「巨石」が御神体なわけです。

気になったため、速玉大社で参拝をした後、早速向かってみました。
速玉大社から2キロほど。悪臭をはなつ川沿いを進むと、神社はありました。

鳥居の先には、かなり急な石段が続き、上ることをためらってしまうほどです。意を決して急斜面に挑むこと30分。しめ縄をした大きな岩が目に飛び込んできました。
そして、近くにはほこらともいえるような小さな社殿がありました。ここが神倉神社です。

もともと、ここに神が祭られていたのですが、いつ頃か、現在の速玉大社の社地に神を移したことで、速玉大社は「新宮」と呼ばれるようになったそうです。そして、神倉神社は「元宮」と呼ばれているそうです。
神倉神社も、立派な「熊野三山」の1つ、というわけです。

それにしても、ここの石段は急でした。特に下りが恐怖なので、初めて上る人は十分注意しましょう(女坂と呼ばれる迂回路がありますが、急な山道のはずなのに、とても楽に思えました)。

写真説明>
上の写真 : 熊野速玉大社の鳥居
下の写真 : 神倉神社の鳥居(鳥居の先には急な階段が続く)

熊野三山2(熊野本宮大社、熊野那智大社)2009/09/25 00:51

■2日目(21日)
2日目は、三山の中で最も奥にある「熊野本宮大社」を訪れました。
とにかく遠い。新宮駅からバスで片道1時間以上もかかります。自分は、紀伊勝浦に宿泊したため、行きは紀伊勝浦より、1日1便だけある特急バス(直行便)で、帰りは新宮駅経由で戻ってきました。

和歌山県田辺市本宮町にある本宮大社は、熊野三山の中心的な存在で、熊野古道は、三山を結び、本宮大社へ通じる参拝道とされています(本宮大社へ行くと、熊野古道の終着点であり始発点であると記されています)。

熊野古道については、後述するとして、まずは本宮大社。鳥居をくぐり神域に入ると、参道の先に石段が続きます。この石段を上って本殿へ向かうのですが、速玉大社が町の中にあるのに対して、こちらは山の中に位置していました。

近くには、日本一大きい鳥居の立つ「大斎原」という場所がありますが、元々は、ここに社殿が建っていたとのことです。熊野川の洪水により社殿が流されてしまったため、現在の位置に移されたそうです。

バスを使っても、最も遠い場所にある本宮大社。訪れることが出来たことに、とてもありがたみを感じました。

■3日目(22日)
この日は、紀伊勝浦駅からバスで30分程度の場所にある、熊野那智大社を訪れました。
まさかこれほどとは・・・。たどりついた時の第一声です。
三山の中では、バス路線も充実していて、比較的行きやすい場所にあるのですが、大変なのはバスを降りてからでした。

那智大社へは、バスで近くまで行くことが出来るのですが、ガイドブックにも紹介されている、熊野古道「大門坂」を徒歩で上ることにしました。

大門坂は、当時の姿を色濃く残した熊野古道で、樹齢800年ともいわれる2本の杉の巨木(夫婦杉)が出迎えてくれます。そして、巨木を越えた先には、上へ上へと続く石段が続きます。

大門坂を上りきると、多くの店が建ち並ぶ賑やかな場所に着くのですが、本殿へは、さらに階段を上ります。

ひたすら上り続けてようやく到着。息を切らしながら鳥居をくぐると、朱塗りの本殿が目に飛び込んできます。

苦労すればするだけありがたみを感じるもの。三山の中で最も苦労しただけに、感激もひとしおでした。

那智といえばもう一つ。那智の滝があります。滝については後述しますが、那智大社へ向かう途中で、何度か見ることが出来ました。
苦労した先の絶景は、感無量といった感じです。

写真の説明>
上の写真 : 熊野本宮大社の鳥居
下の写真 : 熊野那智大社の鳥居

熊野三山3(那智の大滝)2009/09/25 01:25

■那智の大滝
那智大社の隣には「青岸渡寺」があります。この寺の境内を抜けると、目前には、日本三名瀑の1つ、那智の大滝(那智滝)が姿を現します。
落差は133メートル、滝壺の深さは10メートルもあるそうです。

訪れた日は、通り雨があったのですが、連日の晴天と少雨により、写真で見るよりも水量は少なかったのですが、それでも、岩盤を太い筋となって落ちる水の姿には、圧倒されます。

長い石段の続く大門坂を上り、苦労して到達したからこそ、滝を見た時は感無量、といった感じでした(少々大げさですが)。

さて、ガイドブックやポスターなどでは、赤い色の三重塔と滝が一緒に写っていることがよくあります。この三重塔は青岸渡寺に属していて、青岸渡寺を越えて滝へ向かって歩くと、写真の光景に出会えます。

ちなみに、青岸渡寺から三重塔へ行く途中に、山中へ向かう熊野古道があります。那智大社と本宮大社を結ぶルートの、那智大社側の入口にあたる部分です。

■飛瀧神社
那智の大滝の麓には、飛瀧神社があります。那智大社の別宮として位置づけられますが、神社といっても社殿はありません。
御神体は那智の大滝ですので、直接滝を拝むこととなります。

ここから見る那智の大滝は圧巻です。その高さといい豪快さといい、言葉が出ないほどでした。

華厳の滝のように、観光の目玉として見る滝とは違い、目の前にある滝は「神」そのもの。滝を眺めていると、なんとも言えない安らぎを覚えました。


写真の説明>
左側の写真 : 飛瀧神社と那智の大滝
右側の写真 : 三重塔と那智の大滝

熊野三山4(熊野古道:大門坂)2009/09/25 01:52

最後に大門坂です。
その前に、少し熊野古道に触れましょう。

■熊野古道とは
簡単に言うと、熊野三山への参拝道の総称です。
大阪、伊勢、高野山などの各方面から、熊野三山を結ぶ熊野古道(熊野参拝道、熊野街道などとも言われています)には、いくつかのルートがあります。

○紀伊路
 大阪 ~ 田辺
○中辺路
 田辺 ~ 本宮大社 ~ 那智大社 ~ 速玉大社
○大辺路
 田辺 ~ 那智大社
○小辺路
 高野山 ~ 本宮大社
○伊勢路
 伊勢神宮 ~ 速玉大社

■大門坂
ちょうど、速玉大社~那智大社を結ぶ中辺路に該当します。高低差は約100メートル、長さは約500メートルのこの坂は、那智大社周辺で最も色濃く当時の姿を残しています。
「大門坂」の名は、文字通り「大門」からきています。
かつて、坂の入口には大門があり、通行税を徴収していたとのことです。この大門が「大門坂」の名称の由来となっています。

坂の入口には、大門ならぬ夫婦杉が門のように道の両側にそびえています。樹齢は800年ともいわれる杉の巨木です。
この巨木を過ぎると、道の両側には杉がそびえ、中央を上へ向かって石段が続きます。
坂を上りきり、大門跡を越えると、駐車場や店の建ち並ぶ賑やかな通りに着きます。

ここまでこれば、那智大社はあと一息。さらに階段を上ると、朱塗りが鮮やかな那智大社に到着です。

バスを使えば、大門坂を上らずに賑やかな場所へ行けるのですが、できれば大門坂より上ることをおすすめします。
那智大社へ到着した時の気持ちが違いますよ。

■世界遺産
今回訪れた熊野三山、および熊野古道を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が、2004年7月7日に、世界文化遺産に登録されました。

■続きは・・・HP作成予定
近いうちに作成する予定です。こうご期待!


写真の説明>
左側の写真 : 大門坂入口、夫婦杉
右側の写真 : 大門坂中腹